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深海魚(深海生物)を水中ドローンで撮影!深海の不思議な世界へ潜入

ほとんど光が届かない海の底。水深200mより深い「深海」には、科学が進んだ今もなお、解き明かされていない謎がたくさんあるといわれています。
厳しい環境で生きる深海魚(深海生物)の生態もそのひとつ。そんな、深海魚たちの不思議な世界をご紹介します。

深海魚(深海生物)ってどんな生き物?

深海魚(深海生物)とは、水深200mよりも深い海に生息している魚類のこと。
以前は、「深海にはエサが少ないので生き物はあまりいない」と考えられてきましたが、たくさんの生き物が確認されていて、今では少なくとも2,500種類以上がいるとされています。まだまだ発見されていない深海魚もたくさん生息している可能性があります。

そもそも深海とは、太陽の光がほとんど届かない真っ暗闇の世界。水深1,000m前後では、太陽の光が海面の約100兆分の1しか届きません。また、水深1,000mより深い海域の水温は2~4℃と冷たく、さらに猛烈な水圧がかかっています。
普通の生き物なら一瞬のうちに水圧で押しつぶされてしまうような過酷な環境ですが、深海魚たちは環境に合わせて進化し、厳しい環境下にも適応して暮らしています。

深海で暮らしているからこその、深海魚たちが持っている主な特徴をご紹介しましょう。

発光能力を持っている!

深海魚(深海生物)は、その8割以上が発光する能力を持っているといわれています。光を利用して、自分の姿を隠したり、獲物をおびき寄せたり、敵を驚かせたり、仲間同士でコミュニケーションをとったりしていると考えられています。

大きなギョロ目?とても小さな目?

暗闇の中で暮らす深海魚(深海生物)の目は、大きいものや小さいものと様々です。
ギョロっとした大きな目を持つ深海魚は、暗い深海でもできるだけ多くの光を取り込んで獲物が見つけやすいように、大きな目に進化しました。
一方、目を使うことをあきらめた深海魚の目は小さくなって退化しましたが、目の代わりになって獲物を見つける別の器官が発達しています。

なぜか体が巨大化!

深海魚(深海生物)の中には、驚くほど体が巨大化しているものも。例えば、ダイオウイカの体長は平均10m、今まで発見されたものの中には17.5mという個体もいました。
深海魚の体が大きくなる現象は「深海巨大症」など、さまざまな説がありますが、その理由は謎で、解明されていません。

浮き袋に油脂やガスが詰まっている!

普段、よく見かける魚の体内には浮き袋があり、中は空気(気体)で満たされています。でも、水圧が高い深海では、体内に空気が入っていると水圧に耐えられず体が押しつぶされることに。
そのため、水圧に耐えられるよう、気圧変化の影響が少ない油脂やガスが浮き袋に詰まっていたり、そもそも浮き袋を持たなかったりする深海魚(深海生物)もいます。

深海と超深海

深海魚(深海生物)が棲んでいる深海は水深200mより深い海域ですが、さらに水深6,000mより深くなる海域は「超深海」と呼ばれています。このくらい深い海域になるとほぼ海の底で、海溝という海の最深部へたどり着きます。海溝は海の中ですが、地上の地形と同じように山や谷、急な崖があり、海底から200~400℃の熱水が噴き出す熱水噴出孔も発見されています。
超深海で確認されている生き物はごくわずか。過酷な環境で調査も難しいため、解明されていないことがたくさんあります。

世界の海の中で最も深いマリアナ海溝の「チャレンジャー海淵」の深さは1万920mにも及び、人類史上、8人が潜水艇で到達しています(2020年12月現在)。
女性で初めてチャレンジャー海淵に到達した元宇宙飛行士のキャサリン・サリバン氏によれば、“潜水艇にはジャンボジェット機291機分の水圧がかかる”という危険な場所です。この挑戦の途中、水深7,000mで「ユムシの仲間」、水深8,000mで「シンカイクサウオ」などの生き物が発見されています。

珍しい深海魚(深海生物)たちと、その特徴

ここからは、珍しい深海魚(深海生物)たちをご紹介します。深海で暮らすために備わった不思議な特徴に注目してみましょう。

メンダコ

メンダコは、日本近海、水深200~1,000mの深海に生息。8本の腕のあいだに、スカート状の膜が広がっています。海底を離れて泳ぐときは、この脚を広げたり、耳のような鰭(ひれ)をパタパタと動かしたりして移動します。

ダイオウグソクムシ

陸上で暮らすダンゴムシやフナムシの仲間のグソクムシ。鎧兜(具足)を思わせる硬い体で、「キモかわいい」と人気の生き物です。
ダイオウグソクムシは、大西洋、インド洋の水深200~2,500mに生息していて、体長約45cm、体重は1.7kgにもなります。ダイオウグソクムシより体が小さく、体長10~20cmほどのオオグソクムシもいて、水深150~600m付近に生息しています。
ダイオウグソクムシについては、別ページでもご紹介しています。

キモかわいい深海生物?体長45cmにもなるダイオウグソクムシ

ゾウギンザメ

ゾウギンザメは、太平洋南西、水深200m付近に棲むギンザメの仲間。名前に「サメ」とついていますが、ギンザメ目ゾウギンザメ科に属していて、サメではありません。
名前の由来でもあるゾウの鼻のような口先が特徴的で、これを吻先(ふんさき)と呼びます。吻先には「ロレンチーニ器官」という器官があり、生き物が発する微弱な電流を感知。海底の砂の中に隠れた甲殻類や貝類を探し出して食べています。体長は70~100cmほどで、大きな胸鰭(むなびれ)をパタパタと動かして羽ばたくように泳ぎます。

キホウボウ

日本近海や東シナ海などの水深110~500m付近に生息するキホウボウ。口先に2本の長いトゲ状の突起があり、体全体がとても硬い深海魚(深海生物)です。顎の下から伸びたヒゲと胸鰭(むなびれ)を使って、海底を歩くように移動します。

アカザエビ

アカザエビは、日本沿岸部の水深200~400mに生息する固有種。体の色が植物のアカザに似ていることからアカザエビと名づけられました。底引き網による採集では比較的多く漁獲され、伊勢エビと並ぶ高級食材です。

ヒメカンテンナマコ

ヒメカンテンナマコは、寒天質でやわらかく、内臓が透けて見える半透明の体をしている、水深100~700m付近に生息する深海性のナマコです。刺激を受けると体が青白く発光しますが、詳しいメカニズムは解明されていません。

見られたらラッキー!?リュウグウノツカイの標本

時々、浜に打ち上げられたり、浅瀬で泳いでいる姿が見つかったりしてニュースになる深海魚(深海生物)がリュウグウノツカイ。水深100~700mに生息し、赤いたてがみをなびかせながら漂うように泳ぐといわれていますが、詳しい生態はわかっていません。

サンシャイン水族館では、1981年1月、鹿児島県垂水市中俣海岸に漂着した、全長4.8m、体重60kgのリュウグウノツカイを標本展示しています。サンシャイン水族館ゲストルームでの常設展示をしていますが、特別展の開催期間中は見ることができません。サンシャイン水族館でリュウグウノツカイの標本に出会えたら、ラッキーかも!?

日本初の孵化に成功!謎の深海魚(深海生物)、ゾウギンザメとは?

先ほども少しだけご紹介したゾウギンザメは、ゾウの鼻のような吻先(ふんさき)を持つ深海魚(深海生物)。名前には「サメ」とついていますが、実はサメの仲間ではなく、ギンザメ目ゾウギンザメ科に属する貴重な生き物です。

ゾウギンザメのDNAを解析したワシントン大学の研究によると、約4億年前から姿を変えておらず、「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスよりも、ゾウギンザメの進化速度のほうが遅いことが判明しました。
免疫制御のために必要な細胞がないことや、成長過程で軟骨を骨に置き換えるための遺伝子がないこともわかっています。今後、ゾウギンザメが持つDNAの研究が進めば、人間の免疫や骨の病気の解明、治療法の開発などに役立つと期待されています。

約20cmの卵の成長を見守って、ついに赤ちゃんが誕生

サンシャイン水族館では、ゾウギンザメの飼育展示を2019年3月に開始。2020年1月には、日本初の孵化を確認しました。その後、幼魚への餌づけにも成功して、2020年6月から一般公開をしました。
現在はバックヤードにいます。
研究が浅く、謎が多い生き物のため、卵や幼魚の飼育に関する情報が少ない中でうれしい出来事です。

ゾウギンザメは、孵化するまでの飼育データが日本にないため、海外の文献も参考にしました。また、卵を管理する台を手作りしたり、卵の中をエコー検査で調べたりして、成長を見守りました。その結果、合計5個の卵が孵化し、幼魚が誕生したのです。

日本初の孵化に成功したゾウギンザメの幼魚の様子は、サンシャイン水族館公式Twitterでも投稿しました。投稿内容は下記からご覧いただけます。

【ゾウギンザメの幼魚に関するサンシャイン水族館公式Twitter別ウィンドウで開きます投稿(一部)】

2020年2月19日「孵化した幼魚は15cmぐらい。親とほとんど同じ姿!」別ウィンドウで開きます

2020年2月23日「ゾウギンザメの幼魚がバックヤードで育ってます」別ウィンドウで開きます

2020年3月3日「飛ぶように泳ぐゾウギンザメのベビー」別ウィンドウで開きます

2020年3月4日「最初に孵化したゾウギンザメの幼魚は今日で38日目」別ウィンドウで開きます

2020年3月9日「ゾウギンザメの幼魚は1週間に一度、小さな容器に…」別ウィンドウで開きます

2020年4月14日「ゾウギンザメの幼魚はバックヤードで成長しています」別ウィンドウで開きます

2020年4月28日「孵化してから、3ヶ月が過ぎました!」別ウィンドウで開きます

卵の大きさは20cmほどでしたが、孵化したてのゾウギンザメの赤ちゃんは全長約15cm。一般公開を開始した頃の幼魚(約4ヵ月)は、全長約25cmにまで成長しました。
今回の孵化や幼魚の成長を通して、サンシャイン水族館ではゾウギンザメの生態研究を進め、次なる繁殖へと力を入れています。

水中ドローンも活躍!深海を調査&深海魚(深海生物)を撮影

サンシャイン水族館では、深海の調査研究の促進を目的に水族館スタッフによる調査を行っています。特に力を入れているのは、深海の入り口にあたる水深200m付近の生物採集です。
2019年冬の調査から水中ドローンを活用して、海の中で生きている状態の深海魚(深海生物)の映像撮影や、生息環境などの情報収集を始めました。

水中ドローンは、普段は見ることができない深海の様子を映し出し、船内にあるモニター画面へリアルタイムに映像を送ります。「深海にどんな生き物がいるのか」「その生態がイメージどおりか」といった仮説を立てては調査・検証することを繰り返し、未知の領域を解明する研究に取り組んでいるのです。

深海調査の詳しい様子や舞台裏は「水中ドローン始動!深海調査へ別ウィンドウで開きます」(いきものAZ)をチェックしてみてください。
また、水中ドローンで撮影した映像はYouTube(■水中ドローン深海調査_サンシャイン水族館_2019.10別ウィンドウで開きます)でもご覧いただけます。

見て・ふれて・味わう!冬季限定イベント「ゾクゾク深海生物」

採集した深海魚(深海生物)たちは、水族館スタッフが慎重かつ迅速に輸送とケアを行って、例年1~2月頃に開催する冬季限定イベント「ゾクゾク深海生物」にて展示しています。

過去のイベントでは展示のほか、実際に深海魚(深海生物)にさわることができる「ゾクゾクタッチ」、水中ドローンで撮影した深海映像を観ながら水族館スタッフが深海について解説するトークイベントを実施。さらに、深海魚(深海生物)たちをモチーフにしたかわいらしい各種グッズ販売、深海魚(深海生物)で出汁をとった「深海汁」やオオグソクムシの粉末を使用したレトルトの「辛海カレー」の販売など、深海の魅力にさまざまな角度から迫る企画もありました。

その年の深海調査での採集状況や深海魚(深海生物)たちの状態により、毎年、展示・イベント内容は変わります。また、深海魚(深海生物)は長期飼育ができないものも多く、深海魚(深海生物)たちと出会える貴重なイベントです。開催期間を逃さずチェックしてくださいね!

飼育スタッフから一言

深海魚(深海生物)。言葉の響きだけ聞くと、なんだか不気味なイメージを持つ人もいらっしゃるかもしれません。確かに、見た目がユニークな深海生物はたくさんいます。でも、そうした見た目には、水温や水圧、明るさなど、非常に過酷な深海環境で生きるために必要になった、何かしらの理由があります。

私たちが住む地球を取り巻く海洋環境は、どんどん研究が進んでいます。もしかすると、簡単にはたどり着けない深海は、最後のフロンティアなのかもしれません。
そんな深海に対する神秘性を感じてもらいながら、生き物を見ていただければうれしいです。