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“空飛ぶペンギン”と都会のオアシス。草原で暮らす本来の姿も必見!

陸上をよちよちと歩く姿が印象的なペンギン。飛べない鳥として知られていますが、サンシャイン水族館では大空を羽ばたいているかのように見える「天空のペンギン」が大人気!
また、「草原のペンギン」では、ケープペンギンのふるさと南アフリカ・ケープタウンをイメージ。ケープペンギン本来の生態を見ることができます。ペアになったら一生連れ添うといわれている、仲むつまじいペンギン夫婦の姿にも注目です。

ペンギンってどんな生き物?

ペンギンは、ペンギン目ペンギン科に属する6属18種の総称。そのうち、国内の水族館や動物園では11種のペンギンを見ることができます。よちよちと陸上を移動する姿が印象的ですが、実は鳥類の一種。翼があるのに空を飛ぶことはできませんが、長いくちばしや全身をびっしり覆う羽毛など、鳥の特徴をたくさん持っています。ペンギンは陸上でのエサを巡る激しい争いと捕食者のリスクから逃れるため、進化の過程であえて水中で暮らすことを選択し、飛ばなくても生きていけるように進化していったといわれています。

そんなペンギンたちは泳ぎが得意で、潜水もお手のもの。一見、速く泳げなさそうに思えるあの体型も、実は水中を速く・長く泳ぐのには最適な形です。サンシャイン水族館の「天空のペンギン」では、羽を広げて自由自在に水の中を移動する姿をご覧いただけます。

ペンギンがいるのは南極?北極?

寒い地域で暮らすイメージのあるペンギンですが、ほとんどの種類のペンギンが、南極を含めた南半球に生息しています。
唯一、北半球に生息しているといえるのは、赤道をまたぐ位置にあるイサベラ島(ガラパゴス諸島)に棲むガラパゴスペンギンのみ。ほとんどのペンギンは、南極大陸を囲むように流れている、南極還流を中心とした海で暮らしています。

日本で見られる11種のペンギン

今、国内の水族館や動物園で見ることができるペンギンは、次の11種類。サンシャイン水族館には現在約50羽のケープペンギンが暮らしています。

  • ケープペンギン
  • マゼランペンギン
  • フンボルトペンギン
  • オウサマペンギン(王様ペンギン、キングペンギン)
  • コウテイペンギン(皇帝ペンギン、エンペラーペンギン)
  • ジェンツーペンギン
  • アデリーペンギン
  • ヒゲペンギン(アゴヒゲペンギン)
  • イワトビペンギン
  • マカロニペンギン
  • フェアリーペンギン(コガタペンギン、リトルペンギン)

絶滅の危機にあるペンギンたち

実はペンギンは、昨今の地球温暖化などの気候変動の影響を受け、急激なペースで減少しています。ペンギンたちが絶滅の危機にあるということを伝え、ペンギンたちを取り巻く環境などについて考えるきっかけになればと、サンシャイン水族館の「ペンギン・フィーディングタイム」ではペンギンたちに関する様々な情報をお伝えしています。
サンシャイン水族館は、ケープペンギンたちが幸せになる未来を目指して啓蒙活動に取り組んでいます。

  • 現在、「ペンギン・フィーディングタイム」は、休止させていただいております。

ケープペンギンの特徴と暮らし

ケープペンギンは、アフリカ大陸に生息する唯一のペンギンです。体長約60cm、体重3~4kgほどで、ペンギンの仲間の中では中型に分類される大きさ。主食はイワシなどの小魚で、水中でエサを取り、岩場の隙間や藪の根元に作った巣の中で卵を温めます。
ここでは、ケープペンギンの特徴をいくつか見ていきましょう。

夫婦仲がとても良く、協力して子育て

ケープペンギンの特徴は、夫婦の絆がとても強いこと。まるで人間同士の恋愛のように、好意を示して少しずつ距離を詰め、羽繕いなどのボディータッチや添い寝などを通じて愛を育みます。
ペアを解消する可能性が低く一生連れ添うといわれていて、メスが卵を産んだら次も同じペアで子作りをする場合がほとんど。飼育スタッフも、ペアになっている個体は必ずペアのまま移動させるなど気を配っています。

子育てには、メスだけでなくオスも参加します。産卵された卵はペアのオスとメスが交代で温め、約40日かけて孵化させます。その後も夫婦の連携が基本です。どちらかがエサを獲りに行き、どちらかが赤ちゃんのお守りをするというように、夫婦で協力して子育てをします。

ケープペンギンの繁殖と赤ちゃんの誕生

ケープペンギンは4~6歳になると繁殖を行います。野生のケープペンギンはエサが豊富にある状況であれば1年中繁殖しますが、繁殖のピークは生息域で異なるといわれています。
誕生したばかりのヒナは、体重約70gの手のひらサイズ。生後20日ほどで約400gまで成長し、生後30日を過ぎると約1kgに。70~80日後には、親と同じくらいの大きさになって巣立ちを迎えます。

見た目は成長段階によって変化し、ヒナの全身を覆う綿羽は、生後70日ほどで抜け始めます。若いケープペンギンは亜成鳥(あせいちょう)と呼ばれ、頭から背中にかけて灰色の羽で覆われており、ケープペンギンの特徴である顔や胸の白黒模様がありません。

雌雄の判別が難しい

ケープペンギンの雌雄を外見から判別するのはかなり難しく、確実な判断にはDNA鑑定が必要です。そのため、サンシャイン水族館にはDNA鑑定前に名前をつけた、オスなのにメスのような名前(みぃ、のんちゃん)、メスなのにオスのような名前(武蔵、ダイスケ、ショウタ)のペンギンがいます。

1年に1度、羽が生え替わる

春から夏にかけては、ケープペンギンの全身の羽が生え替わる「換羽(かんう)」の時期。羽がぼさぼさしていたら、換羽の最中です。
換羽中は上手に泳げないため、水中にエサを獲りに行くことはしません。そのため、ケープペンギンは換羽前にエサを食いだめして太ります。換羽前は、1日で体重の3分の1もの量のエサを食べることがあるのです。

鳴き声がロバに似ている

ケープペンギンは、鳴き声で夫婦や親子のコミュニケーションをとりますが、見た目どおりのかわいらしい鳴き声を想像していると少し驚くかもしれません。その声は見た目に反してかなり野太く、ロバの鳴き声に似ていることから、ケープペンギンは別名で「ジャッカス(オスのロバ)ペンギン」と呼ばれることがあります。

意外と足が長い

ケープペンギンの足は短く見えますが、レントゲンを撮って骨格を見てみると、長い足を持っていることがわかります。水中を素早く泳ぐために適応した結果、今のかたちになりました。

知られざるペンギンの生態

ペンギンは昔から水族館のアイドル的存在ですが、条約や各国の保護政策によって入手が困難になりつつあります。サンシャイン水族館では、貴重なペンギンの知られざる生態を身近に感じてもらおうと、工夫を凝らした形状の水槽「天空のペンギン」と「草原のペンギン」で展示しています。
都会の真ん中、地上40mのビルの屋上にあるサンシャイン水族館ならではの景観の中で、ペンギンたちのいきいきとした姿をご覧いただけます。

天空のペンギン

屋外エリア「マリンガーデン」にある、正面から頭上にかけて大きくオーバーハングした幅約12mの水槽。ペンギンたちが羽を広げて縦横無尽に泳ぐ姿を、水槽の下から観察することができるのが「天空のペンギン」です。

この水槽の魅力は、手を伸ばせば届きそうな距離で頭上を泳ぐペンギンたちを観察できることと、水槽の向こうに見える都会のビル群です。まるで、ペンギンたちが都会の大空を羽ばたいているかのようにも見え、自分が空の上にいるのか、水中にいるのかわからなくなるような、特別な感覚に包まれます。
優雅に泳ぐペンギンたちの背景にビルがいくつも立ち並ぶ様子は、まさに「都会のオアシス」。サンシャイン水族館のランドマークともいえる水槽です。

草原のペンギン

野生のケープペンギンが棲む南アフリカ・ケープタウンには砂浜が広がり、近くには草原も広がっています。「草原のペンギン」は、そんなケープペンギンのふるさとである南アフリカ・ケープタウンの景観をイメージ。温かい地域の海辺や岩場で暮らすケープペンギン本来の姿に近い状態を、至近距離で見ることができます。

ペンギンの排泄物は草を枯らしてしまうため、造園された環境で草原を維持することは容易ではありませんでしたが、草原の中に「ペンギン道」をイメージするなど、さまざまな工夫を凝らすことで実現しました。
幅10mの草原で、傾斜をものともせず、軽やかに、力強くゆったりと歩くペンギンたち。巣穴もありますので、ペンギン夫婦の仲むつまじい様子や、子育てにいそしむ姿も見られるかもしれません。

ダイビングタイム、フィーディングタイムも必見!

「天空のペンギン」では、「ペンギン・ダイビングタイム」を実施。エサを目掛けてダイナミックに泳ぎ回るペンギンたちを見ていると、まるで自分も水中に潜っているかのような感覚に陥ります。

また、「草原のペンギン」でも「ペンギン・フィーディングタイム」を開催。間近でペンギンたちがエサを食べる様子を見られるチャンスです。

いずれのパフォーマンスも、1日2回開催しています。

  • 現在、「ペンギン・ダイビングタイム」および「ペンギン・フィーディングタイム」は休止させていただいておりますが、「いつでもどこかで何かが起きている水族館!」をテーマに、生き物たちの魅力をたっぷり味わうことができる企画「いきものディスカバリー」を実施しています。

実は…?ペンギンの恋愛と性事情

ペンギンの生態で特徴的なのは、パートナーになったペンギンと行動をともにし、一日中いっしょにいること。
遠くにパートナーが見えたら駆け寄っていったり、駆け寄ったと思ったらすぐにお互いに鳴き声を合わせてコミュニケーションをとっていたりと、その様子は見ていてほっこりします。
時には、パートナーを確認するための特徴的な鳴き声にほかのペアが反応し、一斉に鳴き出すこともあります。

オス同士・メス同士のペアも

ペンギンがペアで懸命に子育てする様子も愛らしいのですが、実は、さまざまな愛のカタチが存在しています。中には、オスとメスのペアだけでなく、オス同士、メス同士でペアになったりすることもあります。

【生き物たちの“性”を知るイベント開催】

サンシャイン水族館では、生き物たちの知られざる“性”の知識を紹介するイベントを不定期・期間限定で開催しています。
普段、水族館であまり触れられることがなかった生き物たちの“性”にまつわる話題を、真面目に、楽しく知ることができます。

夜間特別営業 帰ってきた♡性いっぱい展
開催期間:2024年9月6日(金)~2024年11月4日(月)

飼育スタッフから一言

陸上での動きはチョコチョコとしてとてもかわいらしいペンギンですが、水の中に入ると同じ生き物とは思えないほどの俊敏な泳ぎを見せてくれます。その姿からは、「適応と進化」によって水中に適した身体を持つに至ったペンギンの歴史を感じることができます。

そんなペンギンの魅力のひとつは、表現力が豊かなところ。特にペアでいると、愛を鳴き声で表現してみたり、相手の羽をきれいにしてあげようという気持ちを見せたり、自分のパートナーを守ろうと必死にほかのペンギンと戦ったり…。感情をこんなに出す生き物は、ペンギンくらいかなと思ったりもします。

よく表情を観察していると、喜怒哀楽もなんとなくわかるようになってきますよ。歩き方や見た目に加えて、ペアの関わり合いや表情にも注目してみると、ペンギンがより魅力的に見えてくると思います。