ワタシとサンシャインシティ 想い出エピソード大賞 受賞エピソード発表

結果発表

吹き出し
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像
  • ループ画像

たくさんの素敵なエピソード・投稿をありがとうございました。

「あなたはサンシャインシティに
どんな想い出がありますか?」
そんな問いかけに、たくさんの方が応えてくれました。
ご応募いただいた想い出から選出された、
大賞・入賞エピソードと、
同時開催のキャンペーンにお寄せいただいた
「サンシャインシティのココが好き」を
ここに発表いたします。

大賞エピソード

入賞したエピソードのうち、
特に印象的だった4つのエピソードが大賞を受賞しました。
大賞エピソードは豊島区やサンシャインシティに
所縁があるクリエイターとともに
作品化しましたので、
エピソードとあわせてご紹介します。

「1か月毎日
サンシャイン水族館に
通ったおはなし」

ペンネーム :
ろみぃな さん(30代)

エピソードイラスト

まだセミも鳴き始めたばかりの7月下旬頃、1歳7か月の娘とサンシャイン水族館に毎日通い始めました。
きっかけは、2つ。
1つは毎日はたらくくるまばかりの曲を聞き続け車のことばかりで頭がいっぱいの娘に、少しでも世界を広げてあげたいこと。
2つ目は猛暑でお外遊びは出来ないので涼しくて生き物と触れ合える所に連れて行ってあげたかったこと。

まずは1か月毎日通ってみようと目標を立てました。
初めのうちは、少し暗くて涼しくて、人の多い水族館ではなかなか娘は1人で歩くのも様子見をして、すぐ抱っこ!と言っていましたが、毎日通ううちにどんどん自分で館内を歩き回るようになり、お気に入りの水槽や生き物がどんどん増えていきました。

そんなある日、お家で本を読んでいるとふと、「チンアナゴってうんちするかな?」と言い出しました。
「じゃあ、明日飼育員さんに聞いてみよう!」と約束し、ラグーン水槽の生き物ディスカバリー後の飼育員さんに質問してみました。
すると、チンアナゴのご担当者さんにわざわざインカムでご確認してくださり、娘に「チンアナゴはうんち、します!にょろっと砂から身体を出してうんちをするよ」と丁寧に娘に直接答えていただきました。
その日の帰宅後、早速仕事帰りの夫に「チンアナゴ うんちするって!」と得意げに教えていました。
自分が疑問に思ったことが教えてもらえたことが余程嬉しかったようでした。

これを機に、娘は水族館が大好きになりました。
トラフザメを水槽の中で飼育員さんが抱きしめる所を観ては喜び、つのもちだこが水槽から居なくなったときは、また再び飼育員さんに質問して、詳細を教えてもらいました。「今は暑いからバックヤードにいるから大丈夫だよ!」と教えていただき、安心したようでした。
最近では毎日アシカのショーを楽しみに待つようになり「今日、アシカさん歯磨きするかなぁ?」とトレーニングの内容までしっかり覚えるほどになりました。
タイミングが良い時は一日に2度も3度もアシカのショーを観ることが出来て、とっても嬉しそう!

1か月間予定通り通い終わってみて、通う前ははたらくくるまで頭がいっぱいだった娘は、今やたくさんのお魚と生き物たちの名前を言えるようになりました。
まだまだ水族館にいる生き物を見尽くせず、通う度に新しい魅力に気付かされるので、これからもしばらく通う予定です。
2024年の夏は、サンシャイン水族館が一番の思い出の年になるだろうと思います。
そして、いつも優しく丁寧に対応してくださる飼育員の方々にはとても感謝しています!

このエピソードから生まれた作品

クリエイターからコメント
夏の暑い時期にお子さんのために良い場所はないか、と考えた結果、サンシャイン水族館を選ばれたお母様の思いが、お子さんの思わぬ成長につながる物語です。
これは、人と場所との素敵な物語だと思いました。生き物の素晴らしさはもちろんですが、飼育員さんの親しみやすさと真摯さがあってのエピソードだと思います。

クリエイタープロフィール画像

クリエイター

横山 寛多

プロフィール

鎌倉育ち、鎌倉在住の絵描きとしてキャリアをスタート。新聞連載の挿絵、雑誌の表紙、商品パッケージイラスト、絵本制作など幅広い活躍をみせる。海と山に囲まれて育った環境から自然や生物に対する観察眼を身につけた彼は対象をつぶさに観察し独特なタッチで描写する。素朴な中にも緻密性を生み出し、あたたかみのある作品を生み出す注目のイラストレーター。
サンシャインシティ「絵本の森」では、オリジナルの絵本作品を6作品制作。作品は、絵本のひろば(アルパ 1F 噴水吹抜前広場)のテレビ絵本にて放映中。

「清水の舞台から....」

ペンネーム :
ずんだ餅 さん(60代)

エピソードイラスト

35年ほど前、2年ほどお付き合いしていた彼にいつものようにデートに誘われました。
たいていは喫茶店や公園で話をしたり散歩したり地味目なデートでしたが、ある日珍しくサンシャイン60に行くと言います。
私はとても驚きました。彼はかなりの高所恐怖症だったからです。
映画を見たりハンバーガーを食べたりした後、なぜか嫌いなはずの展望台に行こうと言います。

きづかう私に大丈夫と強がる彼はエレベーターの中で震えていたので、申し訳ないけれど笑ってしまいました。
「なんでこんな高いところ?」
「清水の舞台から飛び降りる覚悟だからな。京都に誘いたかったけど遠いからな」

下に広がる景色を眺めていると、彼が西の方を双眼鏡で見ろと言います。
何だろうと訝る私にもっと右とか左とか指図します。
「そうそうあの公園の下の方にマンションあるだろう?青い屋根の」「見えるけど何だっけ?」
「何だと思う?」「わからないよ」
「あそこが新居ならいいかなと思って」
彼の膝はブルブル震えていました。冗談はやめてという私にイエスかノーか言ってくれと必死の形相がありました。
その後何週かして二人で展望台から見たマンションを見に行きました。そして婚姻届けを出した後そこに住み始めました。

ずっと仲良く二人で年を取りたいと思っていましたが、思わぬ病を得て、夫はまだ30代のうちにこの世を去りました。
私はずっと独りでいますが、長年住み慣れた東京を離れ今は田舎暮らしです。
以前は、時たま東京やサンシャインの映像をテレビや動画で目にすると、胸が締めつけられそうになり辛さだけを嚙み締めていましたが、還暦を超え、少しづつ懐かしい思い出に変わって来ました。
あの時の膝の震えていた夫の様子を思い出し懐かしさと愛しさで切なくなり、笑いとともに涙してしまう今日この頃です。

このエピソードから生まれた作品

クリエイターからコメント
担当させていただくエピソードを拝見したとき、旦那様のキャラクターがとにかく可愛らしく思えたことが印象的でした。作画する際はそこに大切に触れていきました。

クリエイタープロフィール画像

クリエイター

小雨日和

プロフィール

マンガ家。茨城県出身・東京在住。
読切作「Drop〜垂下のホライゾン〜」がヤングスペリオール新人賞にて大賞受賞。現在連載準備中。紫雲荘活用プロジェクト 三期生。

「あの時の夜景…」

ペンネーム :
西の人 さん(40代)

エピソードイラスト

20年ほど前、初めて私がサンシャインシティに来たときのことです。
当時、大阪で大学生をしていた私は、バスケットボール部の合宿で池袋に泊まりました。
宿泊は1週間ほどでしたが、大学1年生だったため、毎日夕方から夜は、先輩たちから雑用を命じられ、東京観光など全くできませんでした。

あれは、大阪に帰る前日の、合宿最終日の夜のことでした。
その日は、さすがに先輩達も雑用を免除してくれ、夕方から自由時間となりました。
ただ、右も左もわからない田舎者の私と同じ1年生の友人は、どこにいってよいのかわからず、まずはチェーンの牛丼屋で夕食をとりました。
そこのアルバイトのお兄さんに、近くの観光スポットを聞くと、「サンシャインシティの夜景がきれいですよ」と教えてくれました。

結局、遠くに観光に行くのも怖くなってしまい、ホテルから近いサンシャインシティに登ることにしました。
当時は屋外の展望台もあり、その時の夜景は、とても綺麗で、テレビで見るような新宿のビル群や東京駅も見えて、「あー、ここは東京だ…」と実感したのを覚えています。ネオンが綺麗に輝き、暗闇の夜を照らしていて、本当にきれいな景色でした。

正直、合宿は全然楽しくなく、東京の大学と試合しては負けてばかりでした。あまりのバスケのレベルの高さに心底挫折していました。
また、合宿前に付き合っていた彼女が、家庭の事情で、関西から上京するとのことを言われ、それを理由に、お別れしたばかりでした。
そんなこともあり、東京に対して全く良い思いは持てず、「二度と東京なんか来るか!」と心で悪態をついていました。
しかし、この日の夜景は、とても綺麗で、そんなねじ曲がった自分の心を少しまっすぐにしてくれて、東京に良い思い出を残してくれました。

あれから月日が流れ、縁あって東京で仕事をすることになり、東京で結婚して、子どもも生まれました。
毎年、夏休みは子どもを連れて池袋に遊びに来ています。水族館で遊んだり、展望台を子どもと登っています。
あの時の景色と少し風景は変わりましたが、自分にとって、サンシャインシティから見る景色は、感慨深いものになっています。
きっと、この先も、毎年夏休みに来ることでしょう。私の思い出は、この変わりゆく景色の中で、ずっと残り続けています。

このエピソードから生まれた作品

クリエイターからコメント
絵を描くにあたって、応募されたエピソードの文章に加えてインタビュー動画も見せていただいたのですが、文章にあった学生時代のエピソードと共に、20年ほど経過して一家のお父さんとしてサンシャインに来られている今のお話も動画でたくさんされていて、展望台がつなぐ昔と今を描きたいなと思って描きました。

「ボーナスで食べた
お寿司」

ペンネーム :
次朗 さん(60代)

エピソードイラスト

40年前・1984年、私たちは東池袋の公団住宅の9階に住んでいました。
廊下の窓からはサンシャインビルが見えていました。
私27歳、妻25歳。共働きの給料は、手取りで20万ほど。家賃3万9千円を払い、赤ん坊の面倒を見る「保育ママ」に1万円弱を支払って生活していました。
赤ん坊のいる3人家族、贅沢なんて何もできませんでした。

2月に長男を出産した妻は、産後休暇の間、サンシャインビルを散歩するのが日課でした。
東池袋4丁目から3丁目にそびえるサンシャインビルは、都電の踏切を越えるとすぐそこです。乳母車を押しながらの丁度具合の良いコースでした。
当時のサンシャインビルに入るテナントは、ジェトロや洋服屋、雑貨屋、2階にレストランがありました。

散歩の途中、妻はビル内に寿司屋を見つけました。
「大きい桶に寿司がたくさん入って、何よりも値段が安い」
赤ん坊が生まれて経済的に不安だらけの若夫婦にはもってこいの店でした。
「私たちでも入れる寿司屋を発見した」と、夕方、私に話したと思います。
「ボーナスが出たら行こう」と、私も同意したのだと思います。

もう40年も前のことですから、そのあたりの話は覚えていません。
たぶん妻は、その日から何度もその寿司屋を…、店の外から眺めたのでしょう。
ボーナスが出た夏の休日に、乳母車を押してサンシャインシティの寿司屋に行きました。
寿司屋には畳の座敷がありました。妻にとってお金のこともありますが、畳の座敷がちょうど良かったようです。

その日、私たち夫婦は、大きな桶に入ったたくさんの寿司を食べたと思います。
とても美味しかったことをハッキリと覚えています。嬉しかったのだと思います。
店の名前や雰囲気、値段や客の入りなど何も分かりません。
ただ、畳の座敷があって、乳母車から長男を座布団の上に寝かせて食事をしたことしか覚えていないのですから。

このエピソードから生まれた作品

クリエイターからコメント
文章を読んで、この束の間の夫婦での時間がお父さんにとってとても大事な思い出になっているということに、なんとも温かい気持ちになりました。僕自信も27歳で長男を授かり、若い頃の最初の子どもの子育てはいろいろ大変だったものなあとしみじみしました。

クリエイタープロフィール画像

クリエイター

井上ヤスミチ

プロフィール

イラストレーター、工作講師、フェイスペインター、くすだま作家。
人が暮らす匂いがしてくるような絵を描くのが好き。子どもの主体性を尊重する工作教室で毎週講師をしつつ、豊島区北池袋に借りているアトリエでイラストの仕事をしたりくすだまを作ったり、土日にはイベント等で工作ワークショップやフェイスペイントを実施中。

入賞エピソード

若い頃の「想い出」、
家族との「想い出」、友達との「想い出」。
心温まる5つの入賞エピソードをご紹介します。

「あの、たこ焼き店」

ペンネーム :
takarako さん(40代)

エピソードイラスト

大学に入学した年、初めてのアルバイトがサンシャインだった。
今は無き、たこ焼き店。

別の支店の面接を受けたのだが、縁があってサンシャイン店に。
池袋駅から遠いなぁなんて思ってた。

小さいお店だったけど、飄々とした店長を筆頭に、和気藹々としてて。
学生以外にも、夢を追いながら働いてるフリーターの人や、恋愛上手なお姉様とか、ちょっと年上の人もいて、いろんな話を聞くのが楽しかったなぁ。
お喋りしながらの閉店業務で帰りが遅くなったり、長期休みはほぼアルバイトに明け暮れて、親に怒られたりもしたけど、今思い返すと、懐かしい思い出。

現在はサンシャインのオフィスフロアで勤務中。
まさかまたサンシャインで働くことになるとは思わなかったけど。
あの頃と、全体的なお店もレイアウトも随分変わってしまって、時々、お店があった場所を通ると、懐かしいようななんとも言えない気持ちになる。

『おいしく召し上がれますように!』何回言ったかな。
あの時のみんな、元気でいるといいな。

「初めてのロシア料理」

ペンネーム :
タコス さん(30代)

エピソードイラスト

約45年も前の話。

大学に進学するため上京してきた私にとって、東京は地方にはない魅力や機会で溢れ、何もかもが新鮮でした。
学生生活を過ごす中で一目惚れした女性がいました。勇気を振り絞ってご飯に誘うとあっさりOK。

喜びの反面、どこに行くか考えるプレッシャー。
グルメ本を読み漁り、当時できたばかりで東京のシンボルとなっていたサンシャイン60のロシア料理レストランに行くことに。
初めてのボルシチが本当に美味しかった。そのロシア料理を一緒に食べた相手が今の私の妻。

結婚してくれた理由は、初デートでロシア料理に行き、「ずっと美味しいご飯を食べさせてもらえると思ったから」だとか。

実はこれ、僕の両親の物語。
そんな両親の話を聞いて育った僕も1年前に結婚。
妻と両親の顔合わせ、そして夫婦での結婚1周年記念日もサンシャインの展望レストラン。

初めてのロシア料理からはじまり、家族の大事な時にはいつもサンシャインがともに。

「垢抜けたきっかけ」

ペンネーム :
田口真衣 さん(30代)

エピソードイラスト

私が中学生を卒業するとき、遅めの誕生日のお祝いにと2歳年上の男の人と池袋で遊ぶことになりました。
その人とは習い事の武道で毎週顔を合わせていて、少し気になっていました。
その時の私は少しぽっちゃりしていて、見た目にもそんなに気を使ったことがなく勉強ばかりしていて、異性と遊んだことがない子でした。

初めて2人でお出かけするという機会があり、今ある服の中で一番オシャレだと思う服を着て駅で待ち合わせました。
会った瞬間私は嬉しくてワクワクした気持ちになりましたが、相手は私を見てため息。
「もう少し見た目に気使ったら?」と言われ、私は一気に悲しく恥ずかしくなってしまいました。
とりあえずサンシャインに行きお昼を食べることになりました。
パスタ屋さんでご飯を食べ終わってまだ席で少し話していると、相手がカバンから何かを取り出し、私に手渡してきました。
「これが似合う女性になって」
開けてみると、Diorのリップグロスが入ってました。初めて手にする化粧品。いろいろと気にかけてくれていたことが嬉しくて泣いてしまいました。
――でも私、周りに聞ける人いないし、どうしたらいいかわからない。

「サンシャインに来たんだ。とりあえず服買うぞ」
そういってパスタ屋さんを出て、服を探すことに。
おしゃれなお店がたくさん並んでいて、私にはキラキラ眩しく見えました。
スカートはもちろん履いたことがなく、女性らしい服など一度も着たことがなかった私には心理的な抵抗もありました。
いろんなお店を回って夕方になる頃には、ワンピースとバッグと靴、アクセサリーが揃っていました。
「買ったやつ着てみて」
ということでトイレで着替えて、リップグロスを塗って、おそるおそる顔を合わせました。
「似合うじゃん」
私は今までに感じたことのない気持ちに気づきました。
カフェで話したあと、解散しました。そのままの服で帰ると親に驚かれると思って駅のトイレでまた元の服に着替えましたが、あの日はとても新鮮な体験をしました。
高校に入学したあとは少し体型を絞り、服や化粧品に少しずつ興味を持ち、オシャレを楽しめるようになりました。初めての彼氏もできました。
今はもうそんなドキドキする経験もない歳になってしまったので懐かしく感じますが、親から少し離れて自分らしい選択をできるようになった良いきっかけだったなと思います。

「母があちらの世界へ行った瞬間」

ペンネーム :
上岡しのぶ さん(60代)

エピソードイラスト

「うわぁー、何これー!」娘の声が響く。
部屋の電気を付けた途端、目に入ったのは2000冊以上の単行本。思わず無言で2人共ケータイで動画を撮った。

今までこの年齢まで数々のホテルに滞在したが、壁一面が漫画の単行本で埋め尽くされた部屋は初めてだった。
いつもなら部屋に入り次第、窓を開け景色の確認、冷蔵庫の確認、バスルームの確認をする。
だが今回は「どんな作品があるの?」の確認作業。本棚の作品名をくまなく見て、その度に2人とも感嘆の声が出る。
荷物も床に置いたまま、靴も脱がず、懐かしき作品を、愛しき作品を、未知の作品を、娘はベッドで、私は床に座り込んで、ただひたすら読んだ。
いや、読んだというか、観た。

さすが池袋。
もしこの部屋が池袋でなく、他のリゾート地なら、うーむ、と考えたかもしれない。
昔はベルばらとか、テニスものとか読んではいたが最近のアニメは、私の年齢では理解し難い内容、と思い込んでいた。
だがいざ目の前に、初めての読み放題天国が用意された途端、それはあまりにも瞬間的に、あまりにも突然に、私を夢の世界に引き込んだ。
何時間読んだろう、いや、観ただろう。
「お母さん、おなかすいた。ねえお母さん、おかあさーん!」
「やだ、まだ読む!」
「はあ?」
母が子供になった瞬間だった。
大人が子供に帰る瞬間なんて、あっという間のキッカケなのかもしれない。

娘が幼い頃、目が悪くなるよ、とか、漫画読む暇があれば勉強しろとか、何度言ったことか。
「お母さん、そんなに読むとまた老眼進むよ!」
アニメ好きな娘が来たいと言って、渋々予約した筈が、逆に母が娘に叱咤されるとは…。
ああ、チェックアウトしたくない、もう一泊したい。聞けば人気で暫くは空きが無いとか…。
ありがとうサンシャインプリンスホテル。また来るわ。絶対に来る!心に誓った。
帰り道、娘が私をサンシャインアルパに連れて行ってくれた。もう親子ではなく、お友達だ。
散々キャラクター見学を満喫し、アルパの本屋で数冊の単行本を買い、帰宅早々本屋の袋を開け、荷物も解かずまた読みふける私に、娘が耳元でささやいた。
「お母さん、こちらの世界へ、ようこそ」

「スイングコースターを忘れない 〜スカイサーカスの想い出〜」

ペンネーム :
水久保南 さん(50代)

エピソードイラスト

「一日ぶりですね」
展望台スタッフから声をかけられた。
2019年、当時の私はサンシャイン60展望台「スカイサーカス」の年間パスポートを持っていて、地元での半日のアルバイトが終わると、ほぼ毎日のように埼玉県から池袋にかよっていたのだ。
展望台には必ず、行った。高いところから景色を眺めるのが大好きだったし、入日や夕焼け、空というのは二度と同じものがないからだった。
そして夜になると、まるで宝石箱をひっくり返したような夜景が楽しめた。あの窓明かりのひとつひとつに生活やドラマがあるかと思うと、愛おしかった。

展望台はもう、それだけでワクワクした。池袋の空や、お天気をテーマとしたアトラクションが、何よりも私のお気に入りだった。
オープン当時のサンシャインシティを、今でも覚えている。噴水広場に鏡があったし「鏡の広場」という、もうひとつの噴水広場のような場所がワールドインポートマートにもあったのだ。鏡はひとつのキーワードで、万華鏡の部屋はオマージュなのだろう。
そして、文化会館の地下にはゲームセンターがあって「サーカス・サーカス」という名称だった。古きを受け継いでいるのだ。

展望台のアトラクションで、一番のお気に入りは、なんといっても「スイングコースター」だった。
VRの体験できるメガネを装着して、サンシャイン60展望台のビルの窓から、バーチャルの世界の池袋の空に飛び出す!あの瞬間!!本当に外に飛び出すような感覚!私は小学校の卒業文集で「池袋の空を飛びたい」と、寄せ書きで書いていた。
その夢が叶ったのだ!サンシャインシティの周りをブランコのような乗り物で滑走して、水族館の上をギリギリかすめて戻ってくる。もう、その感覚が好きで好きで、何度も体験した。
まさか、コロナ禍のあおりでスカイサーカスがなくなってしまうなんて、このときは思いもせずに……。
スカイサーカス最終の営業日に、私は最後の最後に名残り惜しくてたまらなくて、半分泣きながら、スタッフに挨拶して「スカイサーカス、最高!ありがとう!」と下りのエレベーターに乗り込んだ。

半年後、展望台は私の大のお気に入りだったスカイサーカスのDNAはまるで残さずに「てんぼうパーク」にリニューアルしてしまった。
スカイサーカス営業日には最後の一人として退場した私は、てんぼうパークのオープン日には、一般客ではいちばん最初に、入場した。
人工芝に寝ころびながら、夢を見ているようだった。スイングコースターはどこにいったのだろう?弾丸フライトは?万華鏡は?夢だったのか?
優しくて気さくで、親切だったスタッフは、どこへいってしまったのか?みんな忘れてしまうのか?
てんぼうパークに変わっても、展望台から見える景色は、変わらない。新宿副都心も東京タワーも、スカイツリーもそして富士山も……。
きっと、スカイサーカスのテントは、今もどこかの空を漂っているに違いないのだとさえ、思ってしまう。
今日も展望台から、景色を眺める。あのときの瞬間、たしかに私は池袋の空に、飛び出したのだ。夕日が没む。マジックアワーが美しい。
てんぼうパークの歴史は始まったばかりだ。それでも、私はスカイサーカスがたしかにあったこと、スイングコースターに初めて乗った日のことを、忘れない。

#サンシャインシティのここが好き Xプレゼントキャンペーン

”あなたが思うサンシャインシティの好きなところ”を
投稿していただいたこのキャンペーン。
展望台からの眺め、水族館の生き物たち…
みなさんからお寄せいただいた、
たくさんの「ココが好き」の一部をご紹介します。

街画像

&Cityとは

この街で生まれたすべての“想い出”は「誰かとサンシャインシティ(&City)」の間の大切な絆。
あなたの心のどこかに眠っている忘れられない楽しい体験や、ちょっぴり悲しかったできごと、大切な誰かとのひとときをサンシャインシティと共に振り返ってみませんか?
「&City」はそんな素敵な“想い出”エピソードをこの街で暮らす人たちと共有する活動です。

pagetop