近年の異常気象によって海洋の環境も急激に変化し、以前なら見ることのなかった深海の魚が網にかかるようになった。このような変化の中、かつては想像上の生き物だと考えられていたものが発見されることもある。
セイレーンもそのひとつである。
2019年12月、日本の近海において魚の網に掛かった謎の生物が捕獲された。その姿は、人間の女性に似ていたが、明らかに人間とは違っていた。手足が鳥のようだったからだ。
この珍しい生き物を生きたまま捕獲しようとした漁師の一人は、鋭い歯によって喉を食い破られて死亡した。また別の漁師は、長い爪によって腹を割かれ、重傷を負った。
ようやく取り押さえ、海洋生物学研究室に持ち込まれた時、生物学者は驚きの声を上げた。それが、長年研究をしていたセイレーンだったからである。しかし、その姿や生態は、多くの絵に描かれたような妖艶な女性ではなく、もっと凶暴な野生動物に近いものだった。
今回、サンシャイン水族館では、実際に生きているセイレーンを展示することとなった。これは、史上初の快挙であり、世界中の注目を集める貴重な展示である。セイレーンの描かれた絵や書物、ミイラ、骨などと共に楽しんでもらいたい。
しかし、生体展示をするに当たって、何人もの水族館スタッフが犠牲となっている。
セイレーンの生態が十分わかっていないため、予想もし得ないことが起こるかもしれない。この観覧は貴重な体験だが、自分の身は自分で守りながら体験してほしい。